Case1.会社が,純資産を基準とした株価から3000万円減額した株価での自己株式買取に成功した事案

■紛争の内容
会社は,株主から純資産額を基準とした価格による自己株式の買取りを求められました。
純資産方式による計算は,会社が想定している買取額よりも大幅に高いものでした。会社は,この算定方法・買取額に応じなかったため,示談交渉事件となりました。
なお,会社は,創業者株主2名であり,その保有株式数は,株主名簿上は同数。
役職は,代表取締役と,取締役です。取締役の退任による役員退職慰労金の支払い後,退任取締役株主から,株式の買い取りを求められた事案です。

■交渉の経緯
当事者双方に代理人が就き,代理人間で交渉が行われました。
株主側は,会社の決算資料等の提示を求め,会社側は,必要な範囲でこのような株主の要請に対応しつつ,昨今の会社の経済状況を踏まえ,株価の減額を要請しました。
なお,非公開会社の株式には市場価格がありませんので,株価の算定方法が複数存在します。会社側は,複数の株価を試算した上で,落としどころを探りました。

■本事例の結末
当事者双方とも折り合わなければ訴訟を見越していたと思いますが,余計な手間暇や費用を考え,最終的には,双方が譲り合う内容で買取金額が決定しました。
その内容は,株主から請求を受けた当初の金額より3000万円の減額がなされた内容でした。

■本事案に学ぶこと
非公開会社は,株主が少数であることが多く,株主間や株主・会社間で紛争が発生すると,会社経営に重大な悪影響を与えることがあります。
本事案では,双方に代理人が就いたため,双方が理論的な説明をベースに,紳士的な話合いが行われました。
会社側は,会社法等の法令を守りながら交渉を進める必要がありますが,弁護士に依頼することによって,法令の調査等についても最小限の労力で済ませることが可能となりました。
また,株式の算定方法についても専門的な知識が必要ですので,適宜,他士業(税理士など)と連携を図りながら交渉することが肝要です。

Case2.役員を解任し、税理士事務所と連携のうえ会社株式の買戻しを行なった事例

■紛争の内容
当事務所の連携する税理士事務所のご紹介で、役員を解任し、同人から会社の株式を買い戻してほしいという依頼を受けました。

■交渉・調停・訴訟などの経過
解任にあたっては、年度末までの残りの任期2か月分の報酬を支払う必要があったため、これを支払ったうえで解任しました。
株式については、決算書上に現れる純資産の価値で1株当たりの株式の価値を評価することで交渉を進めました。
相手方からは、年度末には前年度期末に比べて300万円程度の純利益が出るはずなのでその半分は評価に加えてほしいという主張を受けました。
しかし、今年度末まであと2か月というところでしたし、こちらで前年度期末以降の最新の純資産価値を提示しておりましたので、相手の要求は拒否しました。

■本事例の結末
当方の主張する株式の価値で、和解することができました。

■本事例に学ぶこと
当事務所が多数の税理士事務所と連携していたことから、最新の純資産価値の算出を行なうことができました。
今後も税理士事務所との連携・情報交換を大切にさせて頂きたいと考えております。