コンプライアンス経営というと、概念的な話が先行していてやや分かりにくいですが、実はどんな企業にとっても極めて身近な問題です。
コンプライアンスとは、企業などの組織が、法律、企業倫理、社内ルールなどの企業社会における規範を守り、健全な事業活動をしていくことを言います。

コンプライアンスに違反するのは、例えば次のような場合です。
営業マンが売り上げや営業成績を上げたいがために、過剰なセールストークを使ってしまう、
不良品、品質が悪い製品と知りながら、ロス率を下げるために、隠して販売してしまう、
飲食店や食品製造業で、材料や賞味期限を偽って、使用してしまう(いわゆる食品偽装)、
決算対策として、取引先に架空の取引をお願いし、決算後に返品処理する、
利益を出すために、下請けに言い値を押し付ける等の「下請けいじめ」を行う、
上記は一例ですが、一部の悪徳な企業や悪徳社員だけに見られることではなく、むしろ、頑張っている企業、頑張っている社員だからこそ、コンプライアンスに違反してしまうという事例も多いのです。
また、かつては「やり手」と賛美されたような行動が、近時はコンプライアンス違反として、損害賠償訴訟や株主代表訴訟などの対象となることもあります。
違反の大きさや種類によっては、企業が倒産に追い込まれる可能性もあります。

コンプライアンス経営の流れは次のとおりです。

1)顧客からのクレーム、業務を進める上での失敗、問題従業員の存在など、過去に起きた問題を収集し、これに対する対処法などをルール化。
   ※ 監査機能・内部通報制度の策定、トラブルが発生した場合の処理についての対応方法の明確化、監督責任者の選任と権限の明確化を含む。
2)従業員に対するルールの明示・宣言
3)定期的な研修・教育
4)ルールの変更

また、問題が起きた場合の処理の流れは次のとおりです。

1)苦情相談窓口・監督責任者に報告
2)トラブル対応・事実関係調査
3)問題解決
4)社内・社外への公表、関係者の処分
5)ルールの変更

急激な売上拡大や、これまでの売上・利益の維持にこだわりが強いために、「危なっかしい面がある」「問題があるかも知れない」と感じられる場合は、弁護士に相談するなどして、予防されることをお勧めします。

また、万が一、コンプライアンス違反や不祥事があった際も、ご相談ください。
最近の例を持ち出すまでも無く、社内で隠蔽しようとして、逆に最悪の事態に陥ってしまうことも多いのです。