この分野でよく問題になるのが、
■ 著作権
 ・ 自社のホームページを作ったが、社員が他人の著作物の写真を使っており、著作権者から損害賠償請求が来た。
 ・ 自社の図柄を使って、他社がTシャツを作って売っている。
■ 営業秘密
 ・ 社員に秘密保持の誓約書を書いてもらいたいが、よくできた書式はないか。
■ 特許
 ・ 製品を作ったが、特許を侵害しているとして内容証明郵便が来た。
 ・ 競合他社が、自社が特許を有している技術を無断使用して、商品を開発・販売している
■ 商標
 ・ 商標登録した自社と名称を同じような名称を使っている法人がいる。
■ 不正競争防止法
 ・ 会社をやめた元社員が、自社の得意先を営業で回っている。
 ・ 自社の商品のパッケージと同じようなパッケージを作り、商品を売っている。
などです。

知的財産というと抽象的ですが、企業経営にはとても身近で重要な問題です。知的財産権には、特許権・実用新案権・意匠権・商標権・著作権・営業秘密などがありますが、上記のような例は、中小企業にとってもいつでも起こり得るもので、身近なものと思います。知的財産権の登録は弁理士(特許事務所)の業務領域ですが、知的財産に関する紛争・トラブルは弁護士の業務領域です。複雑な案件については、弁護士が弁理士と協力しながら、事態に対応します。

また、不正競争行為として、よく問題になるのが、退職した元従業員が自社の顧客を回って営業活動をしているという場合です。このような場合、顧客名簿が秘密として管理されていることが必要です。「秘密として管理されている」と言えなければ、原則として損害賠償請求などをすることはできません。このような事情がない場合でも、従業員が顧客先を回ることを阻止したいという場合は、従業員から、「退職後した後に自社の顧客先を回らない、自社と競合関係にある他社に就職しない」などの内容が記載された誓約書をもらっておくことが必要になります。このような誓約書があれば、その誓約書違反を理由にして、顧客先を回ることの禁止を求めたり、損害賠償請求をすることができます。