紛争の内容
Aさんは、交際していたBが金に困っているということを聞き、100万円を援助しました。
Aさんは貸金の意図でしたが、Bはもらったものだと主張し、さらに交際を解消したものとしてお金を返してくれなかったため、Aさんは弁護士に依頼し、返金を求めることにしました。
交渉・調停・訴訟等の経過
弁護士からはBに通知を出し、返金を求めましたが、Bは「お金は借りたものではなく、もらったものだ」「交際中、自分はAから嫌がらせを受けていたのだから、慰謝料を請求したいくらいだ」「自分はお金がなくいずれにしても払えるものはない。破産も考えている。」などと言って、返してくれませんでした。
そこで、やむを得ず貸金返還請求の訴訟を提起することとしました。
本事例の結末
本件ではAさんはBと交際しているという認識であり、貸付証書なども作成していなかったため、裁判の中では、貸金か否かについて事実に争いがある状態でした。
金銭を渡した後、Bとのやりとりなどもあったので、そのやり取りを基にAさんはあくまでも貸付であったと主張しましたが、裁判所からは和解を勧試され、請求額の3割を分割にて払ってもらう、ということでBに一部の返金をしてもらい、AB間の関係も完全に清算できるものとして、和解を成立させることにしました。
本事例に学ぶこと
AさんはBに渡した金銭全てを回収することはできませんでしたが、証拠資料としては確かに万全ではなかったものとして、一部返金でもやむなしとしてAさんも納得の下和解としました。
特別な関係にある相手に対して、書類の形で合意を示す資料を作らないこともありますが、その場合はそもそもその合意が裁判所に証明できないというリスクも覚悟しなければならないと感じました。
弁護士 相川 一ゑ