質問
個人情報保護法の改正法施行後は、大家(家主)も、個人情報保護法の事業者になるのでしょうか。

回答
1 法改正について
これまでは,個人データ量が過去6か月間のいずれの日においても5千件を超えない事業者については,個人情報保護法上の義務を課される「個人情報取扱事業者」から除外されておりました。
しかし,今回の個人情報保護法改正により,対象となる事業者の除外事由(同法2条3項5号)が削除されました。

2 大家さんが個人情報取扱事業者に当たるかについて
以上のように個人データの量による区別がなくなる関係上,以下の条件を満たす大家さんについては,個人情報取扱事業者に当たるものと考えられます。
具体的には,①個人情報データベース等を保有していること,かつ,②これらを事業の用に供する者であることです。
まず,①については,個人情報をコンピュータや名簿類により体系的に構成し管理していることを意味しますので,賃借人の名簿を利用することはこれに当たると考えます。
また,②については,「事業」の意味が問題となりますが,法律には明確な規定がありませんが,個人情報を広く保護することを目的とする同法の趣旨に照らすと,広く,法人,個人を問わず,営利活動,公益活動を問わず,ある特定の目的のために継続的,反復的に活動しているものをいうと解されます。この点,大家さんも,収益目的で賃貸を継続的,反復的に行っているといえますので,賃貸も「事業」に含まれると考えます。

したがって,今回の改正により,広く,大家さんも個人事業取扱事業者に該当する可能性が高いといえます。