質問
オーナーが運営している駐車場の借主が、車を置いたまま刑務所に入ってしまいました。オーナーは、契約解除、車の移動等をしてもらいたいと思っておりますが、個人情報の関係なのか、警察は介入をしていただけないために困っております。どのように現在放置されている車を処理すればよろしいでしょうか。

回答
1 賃貸借契約の解除
駐車場の契約者が車を置いたまま刑務所に入ってしまった場合であっても、刑務所に入ってしまったこと(刑事犯罪を起こしたこと)だけを理由に賃貸借契約を解除することは困難です。
しかし、このような場合、多くの人は、そのまま駐車場代の入金が滞るかと思われますので、3か月以上滞納するのを待ってから、刑務所にいる契約者に対して、催告期間内に未払賃料を支払うよう請求する内容証明郵便を送り、期限内の入金がなければ契約を解除することができます。

2 契約解除後の車の移動(撤去)
賃貸借契約を解除した後は、
①駐車場明け渡しを求める訴訟を提起し、明け渡しの判決を得る
②判決に基づき、駐車場明け渡しの強制執行を行う
(車が執行官によって「無価値」と判断されれば、車はそのまま廃棄される)
ことになります。
手続きにかかる時間ですが、相手方(借主)が事実を争わず、スムーズに裁判が進んだとして、訴訟提起から車両の撤去まで大体3か月半~4か月程度です。
ただし、②の手続きにおいて、車に「価値がある」と判断された場合は、車をそのまま廃棄することはできず、車の強制競売が実施されることになりますので、その場合には、上記より余計に3か月以上かかることもあります。車に価値があるかどうかの判断は、車種・年式・車検整備の実施状況、現車の状態(自走可能かどうか)等によって異なり、専門の執行業者が査定を行って決めます。

以上が、法的手続きに則った、放置車両の処理の流れです。確かに時間も手間もかかるのですが、上記のような手続きを踏んだうえで撤去・廃棄しておけば、後日、刑務所から出所した借主から何を言われても、オーナーが法的責任(損害賠償義務)を問われる心配はありません。