会社が破産する場合、賃貸人に差し入れた敷金・保証金は返してもらえますか。逆に、会社が賃貸人であった場合、賃借人から受領した敷金・保証金はどうすべきでしょうか。

敷金は賃貸借契約終了後明け渡しまでに生じる賃借人の一切の債務を担保するものですので、敷金を返してもらえるのは、賃借人が明け渡しを完了した時からです。
そのため、会社が破産する場合にも、破産管財人が賃貸借契約の解除を選択し、会社が物件の明け渡しを完了して初めて敷金を返してもらうことができます。
ただし、未払い賃料等がある場合には、差し入れた敷金からその分が差し引かれた金額しか返してもらえないことになります。

逆に、会社が賃貸人であった場合には、破産管財人は対抗要件を具備した賃借権に対しては契約を解除することができず(破産法56条1項)、賃借人に対して物件を使用させ続けなければなりません(同条2項)。
このように契約が継続する以上、受領した敷金もそのまま持っていてよいことになりますが、賃貸借契約終了時には敷金の清算処理が必要になってきます。
この場合は清算後の敷金を直接賃借人に返還するのではなく、破産手続きを通して、配当という形で返すことになります。

なお、保証金の場合にも、基本的には敷金と同様の取り扱いになりますが、保証金が多額になると、敷金的性格の部分と貸付金的性格の部分とを区別した処理が必要になることもありますので注意が必要です。