紛争の内容
電気工事を扱っているA社は、自社で受けた依頼について、B社に下請けをお願いしていました。しかし、B社が行った複数の工事内容に不備があり、A社は発注元より、「直ちに補修工事をする様に」と求められ、これに応じざるを得ない状態となりました。
ところが、B社は依頼者A社に対して請負代金を100%請求しており、依頼者や注文主が貸し出した資材を返却していませんでした。

交渉・調停・訴訟などの経過
相手方B社が依頼者A社に対して、請負代金等を請求していましたが、依頼者A社も相手方B社に対して不十分な電気工事をA者にて補修した分の請求権を有していましたので、和解の成立が考えられました。
相手方は、依頼者や元請けの注文者の責任を主張していましたが、依頼者や元請けの注文者に対して詳細な事実確認を行い、その結果を相手方に伝え、こちらの考えを説明しました。
そして、和解成立のために、相手方と複数回やり取りをし、お互いが納得のできる条件を詰めていきました。

本事例の結末

依頼者と相手方との間で、依頼者が相手方に対する損害賠償請求権を放棄し、相手方も依頼者に対する請負工事代金債権その他の債権を放棄するという条項を含む和解が成立しました。

本事例に学ぶこと
本件のようにいくつかの工事に不備がある場合、ひとつひとつ丁寧に事実確認を行い、相手方に対してもそれを丁寧に説明し、交渉を続けていけば、和解を成立させることができることを学びました。

弁護士 相川一ゑ
弁護士 権田健一郎