紛争の内容
依頼者の方は、主債務者に対して債権を有していましたが、主債務者には資力がなく、回収はほぼ見込めませんでした。
そこで、その債権の保証人に対して、保証債務の履行を求める訴訟を提起し、勝訴判決を得ました。
ところが、判決が出た後も、その保証人は支払いをしてきませんでした。
依頼者側は、保証人に関する財産の情報をほとんど有しておらず、わずかな手がかりに基づいて預金口座の差し押さえもおこないましたが、成果はありませんでした。
そこで、裁判所における財産開示手続を申し立てることにしました。

交渉・調停・訴訟などの経過
財産開示手続を申し立てるに際しては、保証人が居住する不動産の名義なども調査し、債権者側が知っている財産では満足な弁済を得られないことや、財産の調査を尽くしたことを疎明しました。
その結果、裁判所は財産開示決定を実施するとの決定を出し、裁判所において財産開示手続期日が行われました。
債務者である保証人は出頭し、本人が提出した財産目録や本人の陳述から、それまで債権者側が知らなかった財産を新たに発見するに至りました。

本事例の結末
新たに発見した財産に対して強制執行を行い、一部ですが金銭の回収をすることができました。

本事例に学ぶこと
金銭の支払いを命じる勝訴判決を得たとしても、債務者が任意に支払いをしなければ、債権者は強制執行を行うしかありません。
しかし、強制執行をする際には、債権者側で債務者の財産を特定したうえで、強制執行を申し立てる必要があります。
債権者のほうで債務者の財産を知っていればよいのですが、むしろ知らないことのほうが多いですので、強制執行が難航することもあります。
そのような場合に、財産開示手続を行うというのは、1つの選択肢になりうると思います。

弁護士 森田茂夫
弁護士 赤木誠治