街を歩いたり、書店の資格コーナーを見たりしていると、「宅地建物取引業」「宅建業」「宅建」という文字をよく見ると思います。ここでは、「宅地建物取引業」について解説します。

宅地建物取引業とは

宅地建物取引業とは、「宅地建物取引業法」という法律で規定されています。
宅地建物取引業第2条は、次のような定義規定を置いています。

第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
一 宅地 建物の敷地に供せられる土地をいい、都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第八条第一項第一号の用途地域内のその他の土地で、道路、公園、河川その他政令で定める公共の用に供する施設の用に供せられているもの以外のものを含むものとする。
二 宅地建物取引業 宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うものをいう。
三 宅地建物取引業者 第三条第一項の免許を受けて宅地建物取引業を営む者をいう。
四 宅地建物取引士 第二十二条の二第一項の宅地建物取引士証の交付を受けた者をいう。



ここからわかる通り、宅地建物取引業とは、
宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買
宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の交換
宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理
宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の媒介
をする行為で業として行うこと
ということになります。

宅地建物取引業を営むには

宅建業を営む条件

宅地建物取引業法では、宅地建物取引業を営もうとする者は、国土交通大臣(二以上の都道府県の区域内に事務所(本店、支店その他の政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置してその事業を営もうとする場合)または都道府県知事(一の都道府県の区域内にのみ事務所を設置してその事業を営もうとする場合)の免許が必要とされています。
そして、この免許の有効期間は、五年とされています。

免許を得るには

宅地建物取引業の免許を得るためには条件がいくつかありますが、そのうちの際たるものは、次の通りです。
①事務所の名称及び所在地(宅地建物取引業法第4条第1項4号)
②事務所ごとの専任の宅地建物取引士(宅地建物取引業法第4条1項5号)

また、宅地建物取引業法は、欠格事由がある場合には、国土交通大臣または都道府県知事は免許をしてはならないと定めています(宅地建物取引業法第5条)。
主な欠格事由は、次の通りです。
・破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者(破産手続中のもの)
・禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者

宅地建物取引士(宅建士)とは

宅地建物取引士(宅建士)とは

宅地建物取引士(宅建士)は、かつては、宅地建物取引主任者と呼ばれていました。
宅地建物取引業法15条は、「宅地建物取引士は、宅地建物取引業の業務に従事するときは、宅地又は建物の取引の専門家として、購入者等の利益の保護及び円滑な宅地又は建物の流通に資するよう、公正かつ誠実にこの法律に定める事務を行うとともに、宅地建物取引業に関連する業務に従事する者との連携に努めなければならない。」と定めており、宅地建物取引士を、宅地又は建物の取引の専門家と定めています。

宅地建物取引士(宅建士)になるには

宅地建物取引士(宅建士)になるには、宅地建物取引業法16条に定める試験を受験し、合格する必要があります。
これまで見てきました通り、宅地建物取引業そして宅建士は不動産取引の専門家ですから、不動産取引に関する法令から、広く出題されます。
宅地建物取引業法のほか、民法、借地借家法、区分所有法、不動産登記法、都市計画法、建築基準法、国土利用計画法、宅地造成等規制法、土地区画整理法、農地法などから出題されます。

宅地建物取引と弁護士

これまで見てきました通り、宅地建物取引業は宅地及び建物の取引を業とし、宅地建物取引士が専門家として、宅地及び建物の取引に深い知識を有しています。
それでは、弁護士は、宅地建物の取引に際して全く必要がないのでしょうか。

もちろん、弁護士は、宅地建物取引業を行うこともできませんし、宅地建物取引士の業務を行うこともできません。
しかし、宅地建物取引、すなわち、不動産取引の契約を行う際には、宅地または建物に関する法令以外にも、さまざまな契約上の制約や条件が付される場合があります。
ご存知の通り、弁護士は、宅地建物取引に限らず法律一般の専門家です。
したがって、不動産取引に際して、契約内容についての有利不利を判断することができたり、代理人として依頼した場合には、契約条件についても依頼者に有利なように交渉したりすることも可能です。
宅地建物取引の契約をする際には、弁護士に代理を依頼することで、有利となる場面は多いと思われます。

宅地建物取引とグリーンリーフ法律事務所

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴

開設以来数多くの不動産に関する案件・相談に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、不動産に精通した弁護士が数多く在籍し、また、不動産専門チームも設置しています。
宅地建物取引士向けの法定講習講師を担当している他、宅地建物取引主任者試験(当時)に合格した弁護士も在席しています。
埼玉県内の宅地建物取引業者の皆様を会員とする「アネットクラブ」も主宰しています。

アネットクラブとは

アネットクラブとは、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所が主催する、埼玉県内の宅地建物取引業者の皆様を会員とするクラブです。
アネットクラブの会員からの法律相談をお受けしている他、アネットクラブ会員様のお客様の来所法律相談も初回無料としています。

最後に

宅地建物取引業者の皆様は、ぜひ、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所のアネットクラブへのご加入をご検討ください。
不動産案件・相談に精通した弁護士が回答いたします。

ご相談 ご質問
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 野田 泰彦
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