景品表示法は懸賞について規制を設けています。懸賞にはいくつかの種類があり、それぞれについて異なる規制が設けられていますので、懸賞を行う場合には注意が必要です。

このコラムでは、懸賞の種類や規制についてくわしく解説します。

1 景品表示法が規制する景品類の提供

(1)はじめに

景品表示法は、事業者が過大な景品類を提供することについて、規制を設けています。

景品類の提供すべてが違法となるのではなく、一定の要件を満たした場合に違法とされます。

以下では、景品表示法上違法とされうる景品類提供について紹介します。

(2)懸賞とは

「懸賞」とは、くじその他偶然性を利用して定める方法及び特定の行為の優劣または正誤によって定める方法によって景品類提供の相手方または景品類の価格を定めることをいいます。

景品表示法上の規制を受ける「懸賞」には、「一般懸賞」と「共同懸賞」というタイプがあります。

以下では、それぞれについてご説明をします。

2 一般懸賞

(1)一般懸賞とは

一般懸賞としては、下記の方法があります。

ア くじその他偶然性を利用して定める方法

  •  抽選券を用いる方法
  •  レシート、商品の容器包装等を抽選券として用いる方法
  •  商品のうち、一部のものにのみ景品類を添付し、購入の際には相手方がいずれかに添付されているかを判別できないようにしておく方法
  •  すべての商品に景品類を添付するが、その価値に差等があり、購入の際には相手方がその価格を判別できないようにしておく方法
  •  いわゆる宝探し、じゃんけん等による方法

イ 特定の行為の優劣または正誤によって定める方法

  •  応募の際一般には明らかでない事項について予想を募集し、その回答の優劣または正誤によって定める方法
  •  キャッチフレーズ、写真、商品の改良の工夫等を募集し、その優劣によって定める方法
  •  パズル、クイズ等の解答を募集し、その正誤によって定める方法
  •  ボウリング、魚釣り、演技または遊戯等の優劣によって定める方法

(2)最高額及び総額の制限

懸賞により提供する景品類の最高額については、懸賞に係る取引の価格の20倍の金額を超えてはならないとされています。

取引の価格とは、購入額に応じて景品類を提供する場合は、その購入額とされ、それ以外の場合は、原則100円とされます。

最高額の制限の他に、総額の制限も設けられています。

総額については、懸賞に係る取引予定総額の100分の2を超えてはならないとされています。

懸賞に係る取引の予定総額とは、懸賞実施期間中における対象商品の売上予定総額を指します。

懸賞販売をしようとする事業者は、客観的に見て合理的な売上予定総額を設定して、景品類の総額がその2%の範囲内に収まるようにする必要があります。

3 共同懸賞

(1)共同懸賞とは

一般懸賞とは別に共同懸賞という懸賞の形式があります。

これは、多数の事業者が共同して行う懸賞であり、一般懸賞の場合よりも規制は緩くなります。

具体的には、最高額の制限は30万円であり、総額の制限は懸賞に係る取引の予定総額の100分の3とされています。

(2)共同懸賞の種類

ア 一定の地域において相当多数の事業者が共同して行う懸賞

一定の地域とは、懸賞を実施する店舗や施設の所在する市区町村の区域をいいます。

例えば、「〇〇市夏祭り」や「○○市観光キャンペーン」など、全市を上げての懸賞販売などがこれにあたります。

イ ひとつの商店街に属する事業者の相当多数が共同して行う懸賞

懸賞運用基準においては、商店街振興組合法の規定に基づき設立された商店街振興組合が主催して行う懸賞は、共同懸賞に当たるとしています。

商店街振興組合法では、小売業者やサービス業者の30人以上が近接していることが要件とされているので、30人以上の事業者が入る商業施設(ショッピングモールなど)が懸賞を行うのであれば、共同懸賞に当たる可能性があります。

例えば、「〇〇商店街大売出し」など、商店街を上げて行う大売り出しなどがこれにあたります。

ウ 一定の地域において一定の種類の事業を行う事業者の相当多数が共同して行う懸賞

「一定の種類の事業」とは、日本標準産業分類の細分類として掲げられている種類の事業を

いいます。

例えば、一定の地域において行われる「〇〇市ラーメンフェア」などの懸賞がこれにあたります。

4 おわりに

以上見てきたように、景品表示法の規制を受ける懸賞には複数の種類があり、それぞれについて異なる規制が設けられています。

事業者が懸賞を行う場合には、まず、実施しようとしている懸賞がどのタイプの懸賞にあたるのかを判断し、それぞれの規制にあたらないように配慮をする必要があります。

これらの判断には、法律的な知識が必要となりますので、弁護士にご相談されることをおすすめします。

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■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 権田 健一郎
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