こんにちは。弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の弁護士 渡邉千晃です。

独占禁止法違反の行為に対しては、法律上、様々なペナルティが課されることとなっています。

独占禁止法では、違反行為が行われた場合には、まず、行政上の措置を中心としておりますが、悪質性の高い違反行為には、刑事上の措置を設けています。

また、違反行為によって損害を被った被害者については、救済措置として、民事上の措置も用意されています。

そこで、この記事では、独占禁止法違反が判明するきっかけを説明した後、違反行為が発覚した場合に企業に生じるリスクをわかりやすく解説していきます。

独占禁止法違反が発覚するきっかけ

独占禁止法違反の「端緒」とは

独占禁止法違反は、どのようにして発覚するのでしょうか。

まず、独占禁止法違反かどうかを調査し審査するのは、公正取引委員会という行政機関です。

公正取引委員会は、日々、一般の方や企業の担当者から独占禁止法に違反する疑いのある情報について報告(申告)を受けています。

このように、公正取引委員会が独占禁止法の疑いがある事実を把握し、審査に乗り出すきっかけを「端緒(たんちょ)」といいます。

また、端緒の中には、違反行為に関わった企業が自ら申し出ることによって課徴金が減免される制度(リニエンシー制度)を利用したものなどもあります。

独占禁止法違反が発覚した最近の事件

独占禁止法違反が発覚した事例として、令和4年11月25日の東京五輪・パラリンピックにおける談合事件が記憶に新しいといえます。

この談合事件が発覚した端緒については、違反行為に関与した会社のうち1社が公正取引委員会に対して談合事実を自主申告(リニエンシー)したと報道されています。

なお、談合の場合、違反者は「5年以下の懲役又は500万円以下の罰金」(独禁法89条)が課されることとなっており、れっきとした犯罪(刑事事件)となります。

独占禁止法違反が発覚した場合のリスクとは

①刑事罰や過料の制裁を課されるリスク

一定の独占禁止法違反の行為に対しては、刑事罰が定められています。

例えば、上記の談合行為を行った場合には、「5年以下の懲役又は500万円以下の罰金」(独禁法89条)が課されることとなっています。

また、刑事罰の対象となる事案では、独占禁止法違反行為に関与した人物や会社代表者が逮捕・勾留される可能性もあります。

上記の東京五輪・パラリンピックの談合事件の際には、公正取引委員会と東京地検特捜部の合同により強制調査が行われたとのことです。

もっとも、独占禁止法違反の強制調査の件数は、特段、多くはないというのが現状です。

②行政上のペナルティを受けるリスク

また、独占禁止法違反の行為は、行政処分の対象となっています。

行政処分の内容としては、「排除措置命令」や「課徴金納付命令」などがあります。

以下で、簡単に解説していきます。

「排除措置命令」とは

「排除措置命令」とは、独占禁止法違反の状態を是正するために、公正取引委員会から発せられる行政処分のことをいいます。

排除措置命令の内容は、競争秩序の回復と再発防止という観点から、違反行為を排除するために必要な範囲内、または、違反行為が排除されたことを確保するために必要な範囲内で、公正取引委員会がその内容を決定します。

この排除措置命令には、例えば、違反行為の差し止めや事業の一部譲渡、違反行為が既になくなっている旨の周知措置などが挙げられます。

もっとも、これらに限らず、違反行為の具体的な態様に応じて、公正取引委員会の裁量により、さまざまに工夫がなされています。

「課徴金納付命令」とは

課徴金制度とは、独占禁止法違反行為を行った事業者が、課徴金を国庫に納付しなければならないというものであり、公正取引委員会は、当該違反事業者に対して、課徴金の納付を命じることが出来ます。

独占禁止法では、上述の「排除措置命令」については、公正取引委員会が「命ずることができる」と規定されているのに対して、「課徴金納付」は「命じなければならない」と規定されています。

すなわち、課徴金納付について、公正取引委員会の裁量はなく、課徴金の額が100万円に満たない場合以外は、納付が命じられることとなっています。

課徴金の金額は増額傾向にあり、令和5年に起きた電力カルテル事件では、1019億あまりという史上最高額の課徴金が課されましたことが話題となりました。

③民事上の責任を追及されるリスク

法律行為が無効となるリスク

まず、そもそも、契約などの法律行為が独占禁止法に違反する場合には、公序良俗に違反するとして、法律行為の無効を主張されるおそれがあります。

民事上の損害賠償請求(無過失責任)を受けるリスク

また、独占禁止法違反行為をした事業者には、独占禁止法の特則にて、「無過失の」損害賠償責任が定められています。

すななち、独占禁止法に違反した事業者などは、被害者に対して、損害賠償責任を負うこととなり、故意・過失がなかったことを証明したとしても、その賠償責任を免れることが出来ないということです。

違反行為の差止め請求を受けるリスク

さらに、不公正な取引により利益を侵害され、又は、侵害されるおそれがある者は、これにより著しい損害を生じ、又は、生じるおそれがあるときに、違反行為を行う事業者などに対して、その侵害の差し止め請求をすることができるとされています(独占禁止法24条)。

独占禁止法により、差し止め請求が認められるとされているのは、公正取引委員会がすべての独占禁止法違反に対応できるわけではないことや、民事救済として事後的な損害賠償では十分ではない場合がありうることからです。

不公正な取引をした場合には、公正取引委員会からの処分を受けるだけでなく、他の事業者から、損害賠償請求や差止め請求を受ける可能性があるという点を注意する必要があるといえます。

まとめ

独占禁止法違反が発覚する端緒や、発覚した場合のリスクについて、解説していきました。

事業活動を行ううえで、公正取引委員会から調査を受けるような独占禁止法違反行為を行うことは少ないかもしれませんが、違反行為により損害を被った他の事業者などから損害賠償請求や差止め請求を受けるリスクは、十分に考えられます。

したがって、ライバル企業から差止め請求や損害賠償請求を受けることのないように、事前の調査は必要不可欠であり、常に独占禁止法などに詳しい専門家の意見を聞く機会を作るべきといえます。

独占禁止法は専門的な知識が必要な分野ですので、お困りの際は、独占禁止法に強い弁護士に相談することをお勧めいたします。

ご相談 ご質問
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、17名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 渡邉 千晃
弁護士のプロフィールはこちら