化粧品を販売する際には広告を用いて、多くの方にその効果を知っていただくことが重要です。

ですが、化粧品を販売する際の広告は、薬機法などの観点から注意すべき点があります。

例えば、このフレーズを用いるのは注意すべきなど、意識しておくべきことが多くあります。法律に違反しないために、ここでは、使ってはいけない表現について解説いたします。

法律上の「化粧品」とは

「化粧品」と一言で言っても、どれが化粧品にあたるのかは明らかではありません。たとえば、ファンデーションなどは化粧品に当たるだろうというイメージがありますが、香水は化粧品なのでしょうか。

薬機法では、「化粧品」について定義をしておりますため、その規定を見てみます。

●化粧品とは(薬機法より)「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚もしくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗布、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されていることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。

これだけではよく分かりませんが、まとめると以下のようなものとなります。

・「清潔」にするもの
 →ボディソープ、シャンプーなど
・「美化」するもの
 →ファンデーション、口紅など
・「魅力を増」すもの
 →香水、デオドラントスプレーなど
・「要望を変え」るもの
 →ヘアカラー剤、つけまつげなど
・「皮膚もしくは毛髪を健やかに保つため」のもの
 →日焼け止め、保湿クリーム、トリートメントなど   

このように私たちのイメージよりも多くのものが「化粧品」にあたります。

知っておきたい化粧品に関するルール

化粧品は、表現できる内容に明確なルールがあります。

その規定に反しないようにすることが重要です。

化粧品に関する表現について規定するものには、

効能効果範囲表

①医薬品適正広告基準
②化粧品等の適正広告ガイドライン
③化粧品の表示に関する公正競争規約

があります。以下、順に見ていきます。

効能効果範囲表

化粧品の効能効果として広告表現することができる効能効果は、厚生労働省のだす効能効果範囲表に記載されているものに限られています。
その内容は下記のとおりです。

(1) 頭皮、毛髪を清浄にする
(2) 香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える
(3) 頭皮、毛髪をすこやかに保つ
(4) 毛髪にはり、こしを与える
(5) 頭皮、毛髪にうるおいを与える
(6) 頭皮、毛髪のうるおいを保つ
(7) 毛髪をしなやかにする
(8) クシどおりをよくする
(9) 毛髪のつやを保つ
(10)毛髪につやを与える
(11)フケ、カユミがとれる
(12)フケ、カユミを抑える
(13)毛髪の水分、油分を補い保つ
(14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ
(15)髪型を整え、保持する
(16)毛髪の帯電を防止する
(17)(汚れを落とすことにより)皮膚を清潔にする
(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ
(19)肌を整える
(20)肌のキメを整える
(21)皮膚をすこやかに保つ
(22)肌荒れを防ぐ
(23)肌をひきしめる
(24)皮膚にうるおいを与える
(25)皮膚の水分、油分を補い保つ
(26)皮膚の柔軟性を保つ
(27)皮膚を保護する
(28)皮膚の乾燥を防ぐ
(29)肌を柔らげる
(30)肌にはりを与える
(31)肌にツヤを与える
(32)肌を滑らかにする
(33)髭を剃りやすくする
(34)ひげそり後の肌を整える
(35)あせもを防ぐ
(36)日やけを防ぐ
(37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ
(38)乾燥による小ジワを目立たなくする
(39)芳香を整える
(40)爪を保護する
(41)爪をすこやかに保つ
(42)爪に潤いを与える
(43)口唇の荒れを防ぐ
(44)口唇のキメを整える
(45)口唇に潤いを与える
(46)口唇を健やかにする
(47)口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。
(48)口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
(49)口唇を滑らかにする
(50)ムシ歯を防ぐ
(51)歯を白くする
(52)歯垢を除去する
(53)口中を浄化する
(54)口臭を防ぐ
(55)歯のやにをとる
(56)歯石の沈着を防ぐ

このように細かくルールが設定されております。

しかしこの表にある文言をそのまま使うことが規定されているわけではありません。

この範囲表を超えない言い換えであれば、許容されますが、この範囲表を超える言い換えは認められません。

どのような言い換えであれば許容されるかについては、個別具体的な判断が必要となります。

医薬品適正広告基準

医薬品適正広告基準は、薬機法に基づいて、医薬品などの広告が虚偽・誇大になりすぎないよう適性を図る趣旨で、厚生省薬務局長長から、各都道府県知事に宛てられた基準です。

ここでは化粧品以外のもの、たとえば医療機器などについての広告も記載されております。

この基準にも反しないか確認する必要があります。

化粧品等の適正広告ガイドライン

化粧品等の適正広告ガイドラインは、日本化粧品工業連合会が定めたものです。

厳密には、行政が制定した法律ではありませんが、化粧品を扱う上での注意事項について記載されたものですので、これを遵守すべきです。

薬機法の趣旨にしたがって、適正な広告を行うための自主的に遵守すべき指針として定めたものです。

化粧品の表示に関する公正競争規約

化粧品の表示に関する公正競争規約とは、化粧品の表示に関する化粧品業界の自主基準です。

公正取引委員会の認定を受けて、業界内の公正な競争と消費者の正しい商品選択のために、不当表示や過大な景品を防ぐことを目的に設定されている業界のルールです。

そもそも公正競争規約とは、不動景品類及び不当表示防止法に基づいて、各業界が自主的に設定する業界基準のことをいい、各業界の基準は遵守すべきです。

化粧品業界での規約が、化粧品の表示に関する公正競争規約であり、ここでは化粧品の種類別名称や、使用上又は保管上の注意や表示などについて細かく規定しております。

そのため、この規約を参照することも必須といえます。

まとめ

ここまで、薬機法に違反しないために、薬機法の規制内容の中でもとりわけ重要となる、広告規制について、化粧品の分野の視点から解説しました。

薬機法は、法律を読んでも難解な用語が多く、一方で、これは規制に反しないだろうと思って誇大広告などをしてしまい、知らぬ間に違法なことを行ってしまう可能性がある難しい分野です。

薬機法に違反しないかなど、きちんとした判断をするには専門的な知識が必要となります。

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■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 遠藤 吏恭

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