質問
当社が一括借りしている駐車場について、貸主の成年後見人と思われる方から、その方の営む寿司店の利用の為に3台分を返して欲しいと言われました。成年後見人の判断だけで、3台分を解約することはできるのでしょうか。

回答
成年後見人が、成年被後見人の居住用不動産を売却・賃貸・賃貸借の解除等をするためには、家庭裁判所の許可が必要ですが、本件のように駐車場利用の土地に関する賃貸借の解除をするには、裁判所の許可は必要ではありません。
また、3台分を解除すれば2台分の賃料減収となりますが、成年被後見人(貸主)は3台分の土地の返還を受けられるわけですから、一方的に成年被後見人(貸主)にとって不利益になるともいえません。
したがって、成年後見人の裁量と判断で、2台分のみ解約を行うことができます。

なお、以上のように、2台分の賃貸借を解約するところまでは、成年後見人の裁量と判断のみでできるのですが、その後、返還を受けた3台分を成年後見人が営む寿司店で利用するのであれば、成年被後見人の土地を、成年後見人が何らかの使用権の設定(賃貸借の設定など)を受けて利用するということであり、利益相反行為に当たります。そのため、返還を受けた3台分を成年後見人が使用するためには、成年後見監督人に間に入ってもらうか、成年後見監督人がいない場合には、別途、特別代理人を選任することが必要です。