質問
弊社と委託取引をしておりますドライバー(個人事業主)に弊社所有車両を貸出した際、ドライバーがその車両のエンジンを損傷してしまいました。車両修理代を委託料から相殺する事について何か問題がありますでしょうか?

回答
下記の2つの問題点があるのではないかと思います。


今回の場合、個人事業主のドライバーに荷物の運送を請負ってもらっている場合なので、直接は関係ないのですが、従業員であるドライバーが今回のような事故を起こした場合は、会社が(従業員である)ドライバーに請求できる金額は、会社が被った金額の数パーセントから20%くらいであると言われています。

ドライバーが事故を起こしたのですから全額を請求できそうなものですが、「会社は従業員を使うことによって利益を得ているのだから、従業員が事故を起こした場合、従業員に過失がある場合であっても、全額をドライバーに請求するのは公平ではない」という理由によるものです。

そこで、もし今回の個人事業主のドライバーが争うとしたら、「自分は個人事業主のドライバーとはいえ、従業員であるドライバーと大きな違いはないのだから、全額を私に請求するのは公平に反する」というような主張が考えられないことはありません。

個人事業主のドライバーか、従業員のドライバーかを判断するには次のような点を甲書して決定すべきだとされています。
■ 従業員のドライバーと判断されやすくなる要素
・ 仕事の依頼・業務従事の指示等に対する諾否の自由がない
・ 業務遂行上の指揮監督の程度が強い
・ 勤務場所・勤務時間が拘束されている
・ 報酬が、仕事の成果ではなく、時間給や日給で定められている。
・ トラックを貸し出す頻度が高い。

今回の個人事業主が、いずれも上記にあたらないというのであれば問題ないと思いますが、ある程度はあたるということですと、全額を請求するのが困難になる場合もあり得ます。


2つ目は形式的な点ですが、会社が被った点について、修理代の見積書、領収書などを示して、損害額について、個人事業主のドライバーに説明をし、納得してもらった上で、損害額を委託料から差し引くと余計な問題が起きないと思います。

なお、できれば、委託料●円から損害額●円を引いた金額を支払うということについて、承諾書を作り、ドライバーの署名、押印をもらっておけば万全です。ただし、承諾書を作らなければだめということではないので、作成が難しい場合は、あえて作らなくても構いません。