紛争の内容
内装設備工事の依頼を受けて施主の自宅に電動設備を設置したが、工事後、施主から製品の仕様と思われる挙動について細かい指摘がなされ直らないのであれば費用は支払わないとの主張を受けている、電動設備メーカーにも協力を得て製品の仕様であるため交換等で改善されるものではないとの説明をしたがまったく聞く耳を持たない、とのご相談でした。
工事自体に問題はないと考えられましたので、まずは交渉事件の代理人として受任することとしました。

交渉・調停・訴訟などの経過
施主に対して工事や製品に不具合はなく、工事代金の支払いを行ってほしいという内容の通知を送付しました。
そうしたところ、施主から、工事から相当期間経過後に発生したとする別の不具合の指摘があり、交換等に応じてくれないのであれば費用は支払わないとの回答がありました。
これまで別の不具合については指摘をされたことがなかったため、その状況や発生頻度を確認しましたが、設備側ではなく操作に問題がある可能性が否定できませんでした。
その後、施主とのやり取りは平行線を辿ったため、やむを得ず、裁判所に対して工事代金の支払いを求める訴訟を提起することとしました。
訴訟において、施主は、当初主張していた仕様と思われる製品の挙動については許容するが、その後に発生した別の不具合については契約不適合と考えるため代金支払いは行わないとの主張をしました。
裁判所から別の不具合が現状どのような状態なのか確認をしたいという要請があり、施主の側で一定期間、設備の状況を記録してもらいましたが、その間、設備に不具合が現れるということはありませんでした。

本事例の結末
裁判所から契約不適合との判断は難しいとの心証が開示され、工事代金支払いを前提とする和解が成立し、後日、施主から和解金が支払われ事件終了となりました。

本事例に学ぶこと
依頼された工事を完了させたが、何かと理由をつけて施主から工事代金の支払いが行われないというトラブルがあります。
協議をしても工事代金の支払いを受けられないという場合には裁判を起こして工事代金の支払いを求めるという方法がありますが、工事代金の金額によっては訴訟提起費用の方が大きくなってしまうということもあり、勝訴をしても経済的合理性が乏しいというケースがあり得ます。
工事代金のためにどこまでの行動を起こすかという点はかなり悩ましく慎重に検討をする必要があります。

弁護士 吉田 竜二