紛争の内容
依頼者である企業は、賃貸人である法人から賃貸物件の賃料値上げを求める通知を受け取りました。相手方は物価変動や維持管理費の増加を理由に挙げ、従来の賃料からの改定を求めていました。依頼者としては事業運営上の予算に直結する問題であり、提示された増額幅を受け入れることが難しかったため、増額請求の妥当性の検討と協議の代理を当事務所に依頼されました。
交渉・調停・訴訟等の経過
当事務所では、周辺の類似物件における賃料相場や対象地域の標準的な賃料推移、物価指数の動向などの客観的な指標を詳細に調査しました。調査結果を踏まえると、相手方の提示額は近隣相場に対してやや高めであることが確認されました。そこで、客観的な相場データを示しながら相手方と任意交渉を行い、依頼者の事業計画上許容できる範囲内で、双方が合意可能な賃料改定案を提示しました。
本事例の結末
協議を重ねた結果、相手方においても当方の提示した客観的な相場根拠や双方の取引関係を考慮するに至り、当方から提示した許容範囲の金額で合意が成立しました。調停や訴訟といった法的手段に進むことなく、任意での話し合いのみで決着させることができました。その結果、賃貸借関係を悪化させることなく、許容できる範囲の賃料で契約を継続することとなりました。
本事例に学ぶこと
賃料改定の請求を受けた際には、一方的に拒否するのではなく、近隣相場や経済指標などの客観的な根拠に基づいて妥当性を検証することが大切です。法的な観点から適正な範囲を把握した上で、当事者双方が受け入れられる限界の条件を探り、丁寧な交渉を行うことが求められます。裁判手続きを避け任意交渉の段階で着地点を見出すことが、将来的な取引関係を良好に維持する鍵となります。
弁護士 申 景秀





