廃棄物処理法において、その解釈が問題となる点について紹介したいと思います。
改正前の破棄物処理法では「産業廃棄物」の一つとして、同法施行令2条4号の「食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形の“不要物”」を定めておりました。現行法にも同様の規定は存在します。

この点について、ある事業者が、知事の許可を得ず、豆腐製造業者から処理料金を徴収して、おからを収集し、自社工場において熱処理を加えて飼料を生成していたところ、このおからが上記“不要物”、すなわち「産業廃棄物」に当たるとして、廃棄物処理法違反により事業者が起訴された事案があります。

事業者側は、おからは食用などに利用されている社会的に有益な資源であり“不要物”ではないと反論しましたが、最高裁は、①食用などに有償で取引される量はわずかであるなおのおからの処理に関する一般的状況、②実際に豆腐製造業者から料金をとっておからを引きうけていたという事業者の意思(つまりおからには価値がないものと認識していた)などを総合的に考慮し、おからが“不要物”に当たると判断しました(最高裁平成11年3月10日)。

ある物が「産業廃棄物」に当たるかどうかが裁判で争われた事案は他にもありますので、物の一般的状況や事業者の意思によっては、おからのような物品についても“産業廃棄物”に該当するという上記判例は、今後も参考になるのではないかと思います。