労働事件に関する裁判例(京都地裁H29.3.30)をご紹介します。
被告である使用者(Y)は,原告である労働者(X)を雇用しました。募集の際、求人票上は、雇用期間の定めがないこと、定年制がないことが記載されておりました。

もっとも、就労後にYが提示した雇用条件通知書上は、雇用期間の定めがあること、定年制があることが記載されており、Xはこの雇用条件通知書に署名・押印をしていました。

その後、YがXを雇用期間終了により雇止めをしたところ、Xが、Yとの雇用契約には雇用期間の定めがないことを主張し、雇用契約上の地位の確認等を求め、訴訟を提起したものでした。

本判決では、たとえ労働条件通知書に署名・押印をしていたとしても、Yから求人票と異なる労働条件についての説明がなかったこと等からXの同意がなかったとして、Xの請求を認めました。

実際の雇用契約の内容と求人票と条件が異なる場合には、たとえ雇用契約書等の雇い入れの際の書面に従業員の署名・押印があったとしても、しっかりと本人に説明をしたかどうかが重要になるといえます。