B社がA社のために製品・部品を作って、A社に継続的に販売するという場合、A社とB社が取引基本契約書を結び、その後、A社が個別の注文ごとに注文書を発行し、B社が注文請書を発行する(個別契約)という形で取引を継続させていくことが多いと思います。
それでは、A社が製造原価を安くするために、海外に発注することにし、今後はB社には発注しないということが自由にできるでしょうか。

契約自由の原則からすれば許されそうですが、判例上、継続的契約の法理というものがありある程度の制約があります。

継続的契約の法理とは、長期間続いてきた契約は、たとえ契約で期間が定められていても、やむを得ない事由がなければ、一方的に契約を終了させることはできない(一方的に発注を中止するということも同様です)というものです。
継続的契約関係にある当事者は、契約の継続を期待して人的・物的投資をするのが一般であり、また、下請会社の場合は、取引に対する依存度も大きいことから、このような期待を保護しようとするものです。

それでは、どのような場合に「やむを得ない事由」があるといえるかですが、これは、
①契約の種類・内容、
②契約当事者の保護の要請(相手方が投じた人的・物的投資の大きさ、契約終了の予告期間を付与したかどうか、損失補償の有無など)、
③契約終了を求める側の必要性、信頼関係破壊の有無、
④契約の目的、
⑤契約の継続期間、
などを考慮して決めるとされています。

例えば、A社とB社の間で10年間契約が継続しており、その間、B社はA社の注文に応じるために機械設備に多額の投資をしてきた、それなのに、A社はB社に対し、突然、契約の終了を告げてきた、というような場合は、やむを得ない事由があるとはいえず、B社のA社に対する損害賠償請求が認められると思います。
ただ、損害賠償の上限は、事案にもよりますが、一番大きくても営業利益の1年分程度とされています。

半面、A社に大幅な売上減、利益減があり、人員削減を行っている状態であった、A社の発注再開の申出に対し、B社が単価の増額を申し出た、B社も他社との業務提携を決めていた、というような事情を考慮して、B社のA社に対する損害賠償請求を認めなかった判例もあります。

継続的契約関係にある企業との取引を終了させるには、①〜⑤の事情を考慮し、例えば、契約終了までに6ヶ月の予告期間を置く、場合によってある程度の補償金を支払うなどの配慮をすることも必要かと思います。
B社がA社のために製品・部品を作って、A社に継続的に販売するという場合、A社とB社が取引基本契約書を結び、その後、A社が個別の注文ごとに注文書を発行し、B社が注文請書を発行する(個別契約)という形で取引を継続させていくことが多いと思います。
それでは、A社が製造原価を安くするために、海外に発注することにし、今後はB社には発注しないということが自由にできるでしょうか。

契約自由の原則からすれば許されそうですが、判例上、継続的契約の法理というものがありある程度の制約があります。

継続的契約の法理とは、長期間続いてきた契約は、たとえ契約で期間が定められていても、やむを得ない事由がなければ、一方的に契約を終了させることはできない(一方的に発注を中止するということも同様です)というものです。
継続的契約関係にある当事者は、契約の継続を期待して人的・物的投資をするのが一般であり、また、下請会社の場合は、取引に対する依存度も大きいことから、このような期待を保護しようとするものです。

それでは、どのような場合に「やむを得ない事由」があるといえるかですが、これは、
①契約の種類・内容、
②契約当事者の保護の要請(相手方が投じた人的・物的投資の大きさ、契約終了の予告期間を付与したかどうか、損失補償の有無など)、
③契約終了を求める側の必要性、信頼関係破壊の有無、
④契約の目的、
⑤契約の継続期間、
などを考慮して決めるとされています。

例えば、A社とB社の間で10年間契約が継続しており、その間、B社はA社の注文に応じるために機械設備に多額の投資をしてきた、それなのに、A社はB社に対し、突然、契約の終了を告げてきた、というような場合は、やむを得ない事由があるとはいえず、B社のA社に対する損害賠償請求が認められると思います。
ただ、損害賠償の上限は、事案にもよりますが、一番大きくても営業利益の1年分程度とされています。

半面、A社に大幅な売上減、利益減があり、人員削減を行っている状態であった、A社の発注再開の申出に対し、B社が単価の増額を申し出た、B社も他社との業務提携を決めていた、というような事情を考慮して、B社のA社に対する損害賠償請求を認めなかった判例もあります。

継続的契約関係にある企業との取引を終了させるには、①〜⑤の事情を考慮し、例えば、契約終了までに6ヶ月の予告期間を置く、場合によってある程度の補償金を支払うなどの配慮をすることも必要かと思います。