
「No.1広告」は、消費者の目を引く非常に強力な訴求手段ですが、景品表示法において特にチェックされる項目の一つです。
ウェブサイトやSNS、チラシなどで「満足度第1位」「日本一の売上」といった表現を使う際に、「知らなかった」では済まされない重要なルールを解説します。
1 はじめに
「業界No.1」、「国内最大級」、「世界初」、こうした魅力的なキャッチコピーは、消費者の購買意欲を強く刺激します。しかし、客観的な事実に基づかない「No.1」は、景品表示法が禁じる「不当表示(優良誤認)」とみなされ、措置命令や多額の課徴金の対象となるリスクがあります。
このコラムでは、No.1広告を行う際に事業者が気を付けるべきことなどを詳しく解説します。
2 No.1広告を行う際の注意点

消費者庁の指針に基づくと、No.1表示を適法に行うには、以下の3つの鉄則を守らなければなりません。
(1)客観的な調査に基づいていること
「No.1」を名乗るためには、自社調べではなく、公平な第三者機関による調査や、統計データに基づいている必要があります。
NG例: 社内アンケートの結果だけで「顧客満足度1位」と謳う。
OK例: 外部のリサーチ会社が実施した、競合他社を含む市場調査の結果。
(2)調査の範囲が適正であること
特定の条件下だけで1位になったものを、あたかも「全体で1位」であるかのように見せることはできません。
範囲の限定: 「20代女性の利用率No.1」なのに、大きく「利用率No.1」とだけ書くのは不適切です。
比較対象: 主要な競合他社をすべて含めた調査である必要があります。都合の良い相手だけを選んだ比較は認められません。
(3)根拠(出典)を明瞭に表示すること
「No.1」という文字のすぐ近くに、以下の情報を誰が見てもわかるように記載しなければなりません。
表示すべき必須項目:
・調査実施機関(どこが調べたか)
・調査の対象・範囲(誰に、何を調べたか)
・調査の期間(いつのデータか)
3 近年のトレンドと「NO.1表示」の落とし穴

最近特に厳しくなっているのが、「アンケートの取り方」です。
例えば、「商品名を見せて、この商品が良いと思いますか?」と聞くような誘導的なアンケートや、ごく少人数(n数)の回答をもって「No.1」とする手法は、事実上の「やらせ」と判断される可能性が高まっています。
また、以前は有効だった数年前の古いデータを使い続けることも、「現在は状況が変わっている可能性がある」として是正勧告を受けるケースが増えています。
4 調査の「客観性」を担保する3つの要素

消費者庁が公開している「比較広告ガイドライン」では、No.1表示が不当表示にならないための条件として、大きく以下の3点を挙げています。
(1) 調査方法の妥当性
「どのような質問をしたか」が重要です。誘導質問の禁止: 「〇〇(自社)は安くて便利だと思いますか?」といった、肯定的な回答を誘導する調査は根拠として認められません。イメージ調査と実態調査の混同: 「利用してみたいサイトNo.1(イメージ)」なのに、あたかも「利用実績No.1(実態)」のように見せるのはNGです。
(2) 比較対象の網羅性
「誰と比べてNo.1なのか」が明確でなければなりません。主要な競合他社を意図的に外した調査は、恣意的であるとみなされます。「自社に有利な特定の項目」だけを抽出して、全体で1位であるかのように誤認させる表示も危険です。
(3) 調査対象者の適切性
ターゲット層と調査対象が一致している必要があります。サンプル数(n数)の明記: わずか10人へのアンケートで「1位」と謳うのは、統計学的に有意ではないと判断される可能性が高いです(一般的には数百〜千人規模が望ましいとされます)。
5 「注釈」の書き方

打消し表示のルール「No.1」の文字だけを大きく書き、根拠を非常に小さな文字(いわゆる豆粒文字)で書く手法は、現在では通用しません。
項目注意点文字の大きさスマホ画面でもはっきり読めるサイズであること、配置場所「No.1」という文言と同一視野に入る場所に記載することなどが求められます。
6 リスクを回避するための「No.1」チェックリスト
広告を公開する前に、以下の項目を最終確認しましょう。
●その調査は「第三者(リサーチ会社等)」が実施したものか?
● 質問項目に、自社へ誘導するようなバイアスはないか?
● 比較対象に、市場の主要な競合他社がすべて含まれているか?
●調査期間、調査対象、サンプル数は明記されているか?
● 最も有利な結果だけでなく、不利なデータも踏まえた誠実な表現か?
●「景品表示法」だけでなく「不正競争防止法」の観点でも問題ないか?
7 おわりに
「No.1」表示は、非常に大きな集客効果を有しています。
しかし、一度でも「根拠がない」と指摘されれば、それまで積み上げた信頼は一瞬で崩れ去ってしまいます。
「No.1」と言い切れない場合は、「累計〇〇万個突破」「顧客満足度95%(自社調べ)」といった、事実に即した具体的な数値(絶対的評価)に切り替えるのも、リスクを抑えつつ信頼を得る賢明な戦略です。
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