
顧客を誘引するために、目を引く魅力的な広告を行いたいというのは、どの事業者も思うことです。
しかし、その広告に合理的な根拠がなければ、それは不当表示として制裁の対象になってしまいます。
このコラムでは、事業者が気を付けるべきことを解説します。
1 不実証広告規制というリスク

「根拠なき自信」がブランドを壊す —— 不実証広告規制の深淵と、令和の広告戦略
「飲むだけでマイナス10キロ」「顧客満足度NO.1」「これまでにない革命的な洗浄力」などの魅力的な言葉は、消費者の心を動かし、売上を爆発させる力を持っています。
しかし、その華やかなキャッチコピーの裏側に「客観的な裏付け」が欠けていた場合、事業者は景品表示法上の制裁を受けることになってしまいます。
このコラムでは、景品表示法における「不実証広告規制」について事業者が特に注意すべきことなどを詳しく解説します。
2 事業者に課される負担

不実証広告規制の最大の特徴は、立証責任の転換にあります。
通常、日本の法律では「訴える側」が相手の責任を証明するのが原則です。
しかし、広告の世界は違います。
消費者庁が「その広告、本当ですか?」と疑問に思えば、事業者にアクションが求められます。
事業者は、問題とされた表示の根拠となる資料を15日以内に提出しなければなりません。
この「15日」という期間は、実務上、極めて短いです。指摘を受けてから慌てて調査会社に依頼したり、科学的実験を行ったりしても、到底間に合いません。提出できなければ、その時点で不当表示とみなされてしまいます。
3 エビデンスの質が問われる

ただ、事業者としては、資料さえ出せば良い、というわけではありません。
提出された資料が「合理的根拠」として認められるには、以下のような高いハードルが存在します。
(1)「個人の感想」では通用しない
かつては「※個人の感想です」という注釈(打ち消し表示)を入れれば、どんな過激な体験談も許される傾向がありました。
しかし現在の指針では、「たとえ事実であっても、それが商品全体の性能として一般化できない場合、消費者を誤認させる」と厳しく考えられています。100人中1人の成功例を、あたかも全員に起こるかのように見せる手法は、もはや通用しないのです。
(2)比較広告のリスク
「業界No.1」という表示も、不実証広告規制のターゲットになりやすい項目です。
調査対象の範囲は適切か?(身内だけの調査ではないか)、調査期間は最新か?(5年前のデータを使い回していないか)、比較対象は公平か?、ということに注意する必要があります。
これらが一つでも欠ければ、「根拠なし」と判断されてしまいます。
4 処分が持つ影響力

不実証広告規制に抵触し、措置命令や課徴金納付命令を受けると、その事実は消費者庁のウェブサイトに実名で永続的に掲載されます。
現代の消費者は、商品を買う前に検索します。「商品名 口コミ」だけでなく、企業名で検索した際、検索結果のトップに「消費者庁が措置命令」という見出しが並ぶダメージは、数億円の課徴金以上に深刻です。一度失った「信頼」という資産を再構築するには、失った売上を取り戻す数倍の年月が必要になります。
このように、景品表示法による制裁は、その金額以上に事業者にとっては深刻な不利益をもたらすものですので、事業者としては、制裁を受けないように細心の注意が必要です。
5 事業者がこれからとるべき方法

では、これからの企業はどうあるべきなのでしょうか。
従来は、魅力的なキャッチコピーを考える → 似合う根拠を後から探す、という仕組みであったとします。
今後は、確実な根拠(事実)を確認する → その事実をどう魅力的に伝えるか考える、という仕組みに移行をするべきでしょう。
「嘘をつかない」のは当然として、「証明できないことは言わない」という意識が必要です。地味に見えるかもしれませんが、事実に基づいた誠実なコミュニケーションは、結果として事業者に大きな利益をもたらすといえます。
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