外国人雇用では、在留資格の確認だけでなく、募集・採用、労働条件の説明、在留期限管理、各種届出まで一連の対応が必要です。企業が実務上押さえておきたいポイントを解説します。

外国人を雇用する企業が押さえるべき実務ポイント

1 最初に「その仕事をしてよい在留資格か」を確認する

外国人を採用する際、まず確認すべきなのは在留資格です。日本に適法に滞在しているからといって、すべての仕事に自由に就けるわけではありません。

「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」など、身分・地位に基づく在留資格は原則として就労内容に制限がありません。これに対し、「技術・人文知識・国際業務」「技能」「介護」「特定技能」などは、認められた活動の範囲内で働く必要があります。

したがって、採用時には在留カードの「就労制限の有無」だけでなく、実際に担当させる業務がその在留資格で認められるかまで確認することが重要です。

2 求人票・雇用契約書と実際の仕事を一致させる

募集・採用では、外国人であることだけを理由に応募を拒むのではなく、公平な採用選考に努めることが求められます。その上で、特に「技術・人文知識・国際業務」では、通訳、海外取引、ITエンジニア、設計、企画・マーケティングなどは対象となり得ますが、単純な製造作業や清掃、配膳等が業務の中心となる場合には原則として対象になりません。

求人票や雇用契約書では専門業務を記載しているのに、入社後は長期間にわたり単純作業だけを担当させる、といった運用は避けるべきです。採用段階で職務内容をできるだけ具体化し、在留資格との整合性を確認しておく必要があります。

3 在留カードは「表裏を見る」だけで終わらせない

採用時には、在留資格、在留期間の満了日、就労制限、資格外活動許可の有無などを確認します。「留学」や「家族滞在」は原則として就労できませんが、資格外活動許可があれば、通常は週28時間以内などの範囲で働くことができます。複数の勤務先がある場合、28時間は勤務先ごとではなく合計で判断されます。

2026年6月14日以降、新様式の在留カードが交付されています。新様式では従来券面に記載されていた一部事項がICチップ記録となったため、必要に応じて本人の同意を得た上で、出入国在留管理庁の「在留カード等読取アプリケーション」を利用することが有効です。

4 雇用契約の内容は分かりやすく説明する

外国人にも、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労災保険法などの労働関係法令が原則として日本人と同様に適用されます。国籍を理由として賃金や労働時間などの労働条件を差別することも許されません。

雇用契約を締結する際は、労働条件通知書等により賃金、労働時間、休日などの労働条件を明示し、あわせて試用期間、税金・社会保険料等の控除、退職時の手続なども具体的に説明します。日本語だけでは十分に理解できない場合には、母国語の資料や平易な日本語を用いるなど、本人が内容を理解できる方法で説明することが、後日のトラブル防止に有効です。

5 採用後は在留期限と変更手続を継続管理する

在留資格の確認は採用時だけでは足りません。在留期限を管理表や人事システムに登録し、満了日の数か月前から更新状況を確認する仕組みを設けるべきです。

また、転職者を採用する場合、前職と同じ在留資格であっても、新会社で予定する業務が認められるとは限りません。判断が難しい場合には就労資格証明書の取得を検討できます。一定の就労資格では、転職等に伴い外国人本人に所属機関に関する届出が必要となるため、会社側も必要書類の提供などをサポートするとよいでしょう。

6 外国人雇用状況の届出と雇用管理体制を確認する

外国人を雇い入れ、または離職した場合、事業主には原則としてハローワークへの「外国人雇用状況の届出」が必要です。対象は「外交」「公用」および特別永住者を除く外国人労働者で、届出を怠ったり虚偽の届出をした場合には30万円以下の罰金の対象となります。

また、外国人労働者を常時10人以上雇用する事業所では、厚生労働省の指針上、外国人労働者の雇用労務責任者を選任することとされています。採用担当者個人に任せず、在留期限、労働条件、相談対応を一元管理する体制を作ることが重要です。

7 不法就労は「知らなかった」だけでは免れない

就労が認められていない外国人を働かせたり、認められた範囲を超える仕事をさせたりすると、外国人本人だけでなく企業側も不法就労助長罪に問われる可能性があります。在留カードを確認していないなど、企業側に確認不足という過失がある場合には、「知らなかった」としても処罰を免れないことがあります。

現在の法定刑は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金等ですが、2027年4月1日からは5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金等へ引き上げられます。

外国人雇用は「採用時の確認」から「退職時」まで

外国人雇用では、①在留資格と業務内容の確認、②募集・採用条件の明確化、③労働条件の分かりやすい説明、④在留期限の継続管理、⑤外国人雇用状況の届出、⑥退職・転職時の手続確認までを一つの流れとして管理することが重要です。

特に、外国人本人の説明だけに依存せず、企業自身が在留資格と予定業務の整合性を確認することが基本です。判断が難しいケースでは、採用前の段階で専門家や出入国在留管理局に確認することが、企業と外国人双方のリスクを抑えることにつながります。

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この記事を書いた弁護士:弁護士 申 景秀

入管法

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所(埼玉弁護士会)所属。
平成24年の登録以来、入管法をはじめとする、外国人関連法務に注力。外国人に関連する周辺法令まで幅広く対応しています。韓国語での対応が可能であり、言語の壁を超えた法的アドバイスを提供。委員会活動や専門家とのネットワークを活かし、個々の事案に即した最適な解決を追求します。