契約書について2回に分けて述べたいと思います。

1 口頭と契約書
法律的に言うと、ごく一部の例外を除き、契約は口頭で成立し、契約書を作る必要はありません。それにもかかわらず、ビジネスの世界では契約書を作成することがほとんどですが、これは、口頭で物事を進めていたのでは、内容が不明確でトラブルになることが多いからです。
また、ひな形をもとに契約書を作るのですが、その過程で、話し合って決めなければならないことが何なのかはっきりします。

2 契約の成立時期
契約が成立するのは、口頭なら、一方が口頭で申し込みをし、他方がこれを了解する旨を言ったとき、契約書を作る場合は、双方が契約書に署名(記名)押印したときです。当事者の意思が合致するかどうかがが問題ですから、メールのやり取りでも、内容によっては契約が成立することがあります。この場合は、メールで申し込み、相手方がメールで承諾したときです。

3 契約書のタイトルの意味
タイトルに大きな意味はありません。契約書の内容は、条文で決まるのであり、タイトルで決まるのではありません。例えば、示談をする場合、示談書、合意書、和解書など、タイトルはどれでも構いません。効力がこれによって変わることはありません。

4 印紙をはり忘れた場合
印紙を貼らなかった場合でも契約書の効力に影響はなく、条文どおりの効力が認められます。ただ、印紙を貼らなかったことが税務署に分かった場合、過怠税として本来の金額の3倍の金額を納税しなければなりません。印紙を貼っていなかったことは、税務調査で明らかになることが多いようです。

5 認印の場合、サインだけの場合
実印ではなく認印でも契約は成立すします。したがって、認印であっても押印をするときは注意が必要です。また、サイン(署名)だけでも契約は成立しますので、こちらも注意が必要です。例えば、「押印はいいからとりあえずサインだけしておいて」などと言われ、保証人の欄に署名をしてしまうと、保証人になったことになり保証人としての責任を負うことになってしまいます。

6 保証人と立会人
保証人になるのと、立会人になるのとでは天地の違いがあります。保証人の場合は、全責任を負うことになり、立会人の場合は、単に立ち会うだけなので、責任を負うことはありません。