やむを得ず企業が倒産し、法人破産を選ぶ場合、どのように弁護士を選ぶのが望ましいでしょうか。

倒産とは

倒産=破産?

令和4年12月5日、東北電力と東京ガスが出資する新電力「シナジアパワー」が、東京地方裁判所に破産手続に申し立てをしたことが報道されました。
報道や帝国データバンクによれば、破産手続の申立ては令和4年12月1日、負債総額は約130億円、卸電力市場の電気調達価格の高騰、ウクライナ侵攻などにより、事業化以前の見通しが立たなかったことが破産手続の理由のようです。

ところで、今回のシナジアパワーの破産手続は、倒産とほぼ同時に申立て・開始決定がなされました。このように、倒産と破産は同義のように使われる場面も多くみられます。
それでは、倒産=破産なのでしょうか。

倒産=破産ではありません

破産は、破産法第2条1項において、次のように定義規定が置かれています。

第二条 この法律において「破産手続」とは、次章以下(第十二章を除く。)に定めるところにより、債務者の財産又は相続財産若しくは信託財産を清算する手続をいう。

他方、「倒産」というのは法律上定義された用語はありません。
一般的には、企業において債務不履行・債務超過・支払不能・手形不渡りに陥った場面を指すことが多く、この際に法的な手続きをとる場合には、「破産」「民事再生」「会社更生」など複数が考えられます。
従って、「倒産」=「破産」ではありません。

倒産と弁護士

倒産と弁護士

上記で見たとおり、倒産の場合には法的な手続きも取られることが多く、こうした法的手続きをとる場合には弁護士の関与が不可欠となります。
例えば破産手続であれば、申立てに際しては弁護士関与が不可欠ですし(「申立代理人」と言います)、開始決定後には「破産管財人」が選任され、会社の財産・権利関係の管理処分権を有することになります。
民事再生は、「申立代理人」弁護士によって申立てがされたのち、会社財産の処分が禁止されますので「監督委員」が選任されます。
会社更生の場合も同様で、「申立代理人」弁護士によって申立てがされ、会社の財産を保全する「保全管理人」が選任されます。
このように、倒産が法的手続きに載る場合には多くの弁護士の関与が必要になりますが、申立後に関与する弁護士は裁判所が選任します。
従って、倒産に際して、ご自分で選べる弁護士は、「申立代理人」ということになります。

弁護士によって過程や結果は変わってくるか

倒産に際して、ご自分で選べる弁護士は、「申立代理人」ということになることが判りましたが、この場合、会社経営者の皆様が気にされるのは、弁護士によって過程や結果は変わってくるかどうか、という点だと思います。

この回答は難しいですが、倒産手続きに関わる弁護士のレベルが同じであれば、当然、過程や結果は変わることはないと思います。
しかし、残念ながら、倒産手続きに関わる弁護士のレベルは同じではなく、従って、依頼した弁護士によって、過程や結果は変わってくると言わざるを得ないと思われます。

どのような弁護士を選ぶべきか

上記で見たように、倒産手続きに際しては、依頼する弁護士によって、過程や結果は変わってきます。
では、どのような弁護士を選ぶべきでしょうか。
もちろん、最後は、費用、フィーリング、対応が丁寧なども重要ですが、そうした点以外としては、次のような点を意識しながら弁護士を選ぶのが良いのではないかと思われます。

解決実績など、取扱件数の多い弁護士であること

この点、その事務所で解決実績が多いことが、そのまま弁護士の経験実績というわけではないことに注意が必要です。
事務所全体の件数は多くても、それぞれの弁護士は経験していなかったり経験数が少なかったりするということもあるからです。
従って、依頼を検討する際には、その弁護士の経験数や経験年数を確認することが必要です。

破産管財人・再生委員などを経験している弁護士であること

破産管財人や再生委員は、一定の経験や適正な事件処理をしていなければ、通常は選任されることはありません。
これは、換言すれば、破産管財人や再生委員を経験している弁護士であれば、これまでの事件処理に問題が少なかったであろうことを意味します。
できれば、破産管財人や再生委員を経験している弁護士に相談することが望ましいでしょう。

申し立て予定の裁判所の運用を理解している弁護士であること

日本の弁護士は、全国どこの裁判所に対しても、破産や再生、会社更生の手続を申し立てることができます。
しかし、実際は、裁判所によって少しずつ運用が異なることがあります。
そこで、申し立て予定の裁判所の運用をきちんと理解している弁護士に依頼することが必要になります。

倒産手続とグリーンリーフ法律事務所

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴

開設以来数多くの企業に関する案件・相談に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、中小企業の悩みに精通した弁護士が数多く在籍し、また、法人破産管財人を経験した弁護士や再生委員を経験した弁護士も複数在籍しています。
経営者保証ガイドラインではありませんが、自然災害ガイドラインにおける登録支援専門家として登録されている弁護士も複数在籍しています。

倒産手続きをするかどうかお悩みの経営者の方へ

事業がうまくいっていない、資金繰りが良くない、などの理由で、倒産手続きを検討する経営者の皆様もいらっしゃると思います。
この場合、破産などの倒産手続きを検討することが必要になりますが、破産は決して恥じる制度ではありません。

資金繰りが途絶えるにご相談を

実際に資金繰りが途絶えると、破産手続のための費用を工面することもできないことになります。
従って、資金繰りが途絶える前に資金を準備し、弁護士に相談することが必要です。

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グリーンリーフ法律事務所は、地元埼玉で30年以上の実績があり、各分野について専門チームを設けています。ご依頼を受けた場合、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 野田 泰彦
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